微笑みの国タイへの旅②人に触れる
初回の旅の1ヶ月後、私は2回目のタイへと旅立ちました。前回に紹介して貰ったカップルがおり、この2人が案内をしてくれることになったのです。
タクシーではなく、2人の自家用車なので車内での喫煙が許されたのはヘビースモーカーの私にはとても嬉しいことでした。
34歳のガフ(男性)、26歳のジェイ(女性)との思い出は数えきれないほどありますが、自分自身が恥ずかしくなった出来事をご紹介したいと思います。
お寺やショッピングモールなどを巡って、まだ時間も体力もある感じでした。
特別な観光地ではないけど、ちょっと大きめの公園があるとの事でそこに行くことになったのです。
公園には池があり鯉(みたいな魚)や亀がいる普通の公園でしたが、車を駐車場に停めて園内に行く道中に先の恥ずかしい出来事は起こりました。
徒歩200M程の道中には道の両サイドに小さな露店がならんでいたのです。
日本のお祭りのような賑やかな露店とは違い、数十件の店がただ静かに並んでいるだけです。
見渡す限り、購入意欲の沸かないどこにでもあるお土産や手作りの小さなおもちゃなどが並んでおり素通りしようと歩いていた時、
ガフ&ジェイは何かを発見したのか2人で走りだしたのです。
露店なのに屋台も商品を置く台もない露店商のもとに駆け寄りました。
バスタオルほどの大きさの布に小さなおもちゃを5つくらい置いていたのです。
露天商は水頭症でしかも片足は義足でした。
2人は5つくらいのおもちゃを全部買い、恐らく多めの支払いをしました。
ここからです。
2人は最低でも15分はそこから離れず、にこやかに露天商と会話をするのでした。
おもちゃは必要なかったと思います。ただただ約15分2人は露天商を愛したんです。
この時、私1人だとまず間違いなく立ち止まらずにスルーしていた事でしょう。
最初はうつむいていた露天商が最後には良い笑顔で3人を見送ってくれました。
「何もしていない私」「駈け寄らなかった私」に微笑みかけて貰ってすごく恥ずかしかったです。
決して裕福ではない若い2人がとった行動は当時40代後半の私には頭を棒で殴られたような痛みがありました。
ここから私はタイの人々の表情や行動を注視するようになりました。
タイ語は理解できないので片言の英語とスマホ変換アプリでやり過ごす私は、余計に表情に注視してきました。
知らない人でも笑いかけたら笑ってくれる、ほとんどがそうでした。
私が外国人だから、観光で来た人だからっていうこともあるかもしれませんが、
注視した様々な表情をみて「微笑みの国」と言われる意味をほんの少し感じ始めた2回目の旅でした。
このあと絵画との出会いになる次回の旅となります。
みなさん、「微笑み」です。